ひとり呟く
ここ二、三年、文らしいものを書いていい気になっていたが、ふだん記通信七号の末尾『独りよがり』の項が目に入った。
ー君の文章は君しか書けない。そこには君がいる。君の世界がある。だが、それが独りよがりになってはいけない。独りよがりの文章は他者の心を打たず、他者を説得することができないからである。(「文章で伝える技術」猪狩章著)
これ位の事は分かっている積もりであったが、自分の綴ったのを省みて、ウーン…。
次のような言葉が浮かんでは消える。
自己満足、自惚れ、自慢、自己主張、でしゃばり、依怙地(年寄りの自己防衛)、自己中心、自分免許…。
嫌な言葉が並ぶ……どうしようか……。
今更、否定して抹消も出来ないし、したくもない。これから知性と教養を深めてカバーしていけば良いか、と、七十才の「依怙地」が頭をもたげてくる。その頭を撫でて温存するか。
仕様もない事ばかり、一人ブツブツと…。
(『ふだん記通信九号』平成五年十一月三十日)