ゴマメのひとりごと

 粘土1kgが置かれ、ウッディカラー版が前にあり、先生の分かり易い説明、よーし世に問う良い物を作ってやろうと、創作意欲満々で出発したのだった。
 粘土は失敗して何回丸めて空気抜きをした事やら。又版画の原画も何回も消したり、何枚も書いた事やら。まあ何とか自分のイメージに近いものがやっと出来た。この辺り迄は自信があった。意外だったのは、焼き物の色だ。炉と灯油の炎がびっくりする程見事な色を表してくれた。ここにも焼き物のポイントのひとつがあるのか。版画はまあ似てはおるがじっと見ていると全くつまらなくなる。全然版画の面白味がない。よくも展示に出したもんだ。さしづめ、水分の少ない、塩気の無い、干し大根かな。まだしも、干し大根なら未だ香り位は残っているよ。
 版画は五m/mの方眼紙に、まあ似てるようにスケッチして、原画大のサイズの倍々の方眼紙に写し替えたのだ。これでは駄目なんだ。味がでない筈だ。版画なんだ、ペン、水彩、油絵ではないんだ、などと。
 表現するには、先生の教え通り、特徴を捉え、省略が大切であることをしっかりと思った。だが、省略するところが分からない。まだ、未だ、奥深い所がある。来年度もやれば望む所迄行けるかな。

       (『紫陽花』平成三年十二月五日より)